3話

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俺はそっと車から離れた。 車の中の石貫が何か言いたそうだ。 「柳田くん、ありが....。」 「彩花ー!大丈夫だったの?」 途中で石貫の連れが割って入った。 他にも安否を確認しに来る人が沢山いた。 俺は車に背を向けて歩いた。 そこに立ちはだかる人がいる。 「柳田。お前って奴は。」 原主任だ。 俺は目を逸らす。 原主任は俺がかぶったままのヘルメットを 自分の持っていたヘルメットで コツンコツンと叩きながら話しだした。 「お前は、俺の言うことを聞かずに行きやがって。 お前のような大男が社内で倒れたりしたら どうするつもりだ。 運び出す身にもなってみろ。」 「すみませんでした。」 俺は叩かれるのをじっと受け入れるしかなかった。
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