4話

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「さっき男の子が来たの。 石貫さんの病室を訪ねにね。 石貫さんと同じくらいの歳かしら。 前髪が長くて暗くて ちょっと怪しかったわ。 石貫さんべっぴんさんだから もしかしたらストーカーかしら、とか思ったりして…。 だから色々聞いたの。 お名前は?石貫さんとのご関係は?とか。 そしたらこれを代わりに渡してくれって言って 帰っちゃったのよ。」 きっと、柳田くんだ。 来てくれたんだ…。 「その人、たぶん同じ会社の人です。」 私は笑いながら言った。 「あら?お知り合いだったー? 悪いことしちゃったわねぇ。」 婦長さんは申し訳なさそうな顔をした。 「いいえ。彼、きっと人見知りなだけなので大丈夫です。」 私はもう一度よくブーケを見た。
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