第1章

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宝クジで一等一億円が当たった。 嬉しいよりも、恐怖の方が先だった。 なぜなら、オレが一億当たるのは初めてじゃない。 前回は散々な目にあった。 寄付攻勢にであい、家の電話は鳴りぱっなしだった。 夜も眠れない。 こんな思いするなら宝クジなんて買わなきゃ良かったと、何度も思った。 そのオレが気まぐれに一枚だけ買った宝クジが、一億円当たった。 運がいいのか、悪いのか、わからなくなってくる。 オレは当たった一億円の使いみちを、決めていた。 盲導犬の育成に寄付する。 オレが目も悪いこともあって、そう決めていた。 匿名で寄付するつもりが、できなかった。 相手側からの熱心さについ名前を名乗ってしまった。 盲導犬協会からは感謝状を贈りたいと言われたが、辞退した。 だか、情報はどこからか漏れる。 名前を名乗ったことにより、また電話攻勢にであった。 もう、寄付する金がないのにだ。 オレは無理矢理に寄付しても、自分の意志で寄付しても同じことだと知った。 いや、学んだか。 一億円あったら、それは人生の岐路に立たされたと思え、それがオレの教訓だ。 にしても、一億円も三度当たると、嫌気がさすな。 また、何処かへ寄付しよう。 今度は匿名で……。
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