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「奥さん。……奥さん!!」
身体を揺すってみたが、ぴくりとも動かない。
脈を取ってみたが、ない。
呼吸もして、いない。
……殺してしまった。
なんで?どうして?
なんでこんなことになったの?
チロリロチロリロ……。
不意に鳴り出した時計に正気に戻った。
時刻は午後三時。
もうすぐ娘が帰ってくる。
少し考えて、
奥さんの死体は車のトランクに詰め込んだ。
部屋を片付けて、
何事もなかったかのように娘を迎える。
普通におやつを食べさせて、
晩ごはんの準備をして。
帰ってきた夫に顔の傷のことを聞かれたが、
派手に道路に突っ込んでこけたというと、
「気をつけろ」って笑われた。
おっちょこちょいでいつも傷が絶えないので、
少しも疑っていない。
三人で楽しく夕食。
夫にさりげなく、いつもよりもビールを勧める。
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