4人が本棚に入れています
本棚に追加
今日も奥さんが来る。
下卑た笑いで。
「ねえ。
今度息子と、
ディズニーランド行きたいんだけど。
手配してくれない?」
……最近は。
財布としてどころか、
いい召し使い代わりにこき使われていた。
難色を示すとすぐに、
「あら。私はいいのよ」と不機嫌になる。
「奥さん」
「なに?」
今日も不機嫌そうに奥さんは私を見る。
不機嫌、だけど弱みを握っているから余裕。
何度この顔にため息を飲み込んだことか。
「これで、終わりにしてください」
用意していた、
百万円を入れた封筒を目の前に差し出した。
「どういうこと?」
「うちにだって、
そんなにお金があるわけじゃないんです。
もう終わりにしてください」
「そんなこと、云っていいと思ってるの?」
にたぁーっと奥さんが笑う。
最初のコメントを投稿しよう!