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「それは…お前が犯人としか言いようが無いな」
「そんなこと言わずにさ!なあお願いだよ信じてくれよ、俺はやって無いんだ!」
「推理小説に出てくる犯人のほとんどは、最初は何もやってないと主張するけど?」
「でも本当に!本当にやってないんだ!だからさ、俺がやってないってことをミス部のお前に証明して欲しいんだ!」
ミス部とは、ミステリー研究部の略称である。
「確かに俺はミス部の部長だ。でも、俺は推理小説を読むのが好きなだけで探偵の真似事なんかはできないんだ!」
「そこをなんとか!な、頼むよ腐れ縁の仲だろ?」
なぜか自ら腐れ縁だと称した上に拝み倒され、勢いに負け「やるだけはやってみるよ」と西島に言ってしまった。
「本当か!?頼むぞ上前!俺にはお前だけが頼りだ!」
言いたいことだけ言った挙句、西島は部室を飛び出して行った。
西島と入れ違いで入ってきた一年部員の来栖杏奈が首を傾げた。
「部長、どうしたんですか?そんな暗い顔してますけど」
「厄介ごとに巻き込まれたようだ」
自嘲しながら、僕は部室を後にした。
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