第1章

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小さい頃から一緒にいて、 もちろんその頃の『すき』なんていう感情は みんな同じように持ってたものだったから なにも違和感なんてなかった。 違和感が出てきたのは、 中学校に入って、宏樹が告白されたと私に報告してきてからだった。 胸にズキっていうか、グサっていうか 心臓が縛り付けられた感覚になったのを覚えている。 今考えたら、いつからかはわからないけど私は宏樹の事を好きになってた。 きっかけとか理由とか、そんなのわかんないんだけどね。 「優音?どうしたの?」 そんな事を考えてたら結衣の話が入ってこなかった。 呼ばれて気づいたくらい。 「んーん、なんでもないよ」 笑ってみせたものの、ちゃんと笑えていただろうか。 ちゃんとごまかせていただろうか。 「そっか。よかった」 そんな天使のような笑顔で見られたら 宏樹がこの子を選んだのは当たり前だと誰かからきつく言われてるみたいだ。 『お前じゃ似合わない』と。
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