4piece 揺れる心

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翌朝。 寝不足と、モヤモヤした気持ちのまま出社する。 家にメイク道具がないから、ほとんどノーメイクで。 「はぁ……」 何か、みじめな自分にため息が零れる。 会社に着いて、足早にロッカールームに向かった。 そして、置き忘れたポーチを手にすると、洗面所に行く。 「誰も来ないうちに、メイクしちゃお」 私は、一番奥の洗面台の前に立つと、家から持ってきた洗顔フォームで顔を洗った。 冷たい水が、寝ぼけた頭を少しだけクリアにする。 洗い終わって顔を上げた、その時だった。 洗面所の入り口から、ヒールの音が聞こえてくる。 (誰か来る!) スッピンなので、何となく顔を背けた。 カツカツと靴音は、どんどん近づいてきて、私の隣で、ピタッと止まる。 (他も空いてるんだから、隣に来なくてもいいのに……) そう思った時だった。
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