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「……い、おい、綾瀬!」
不意に、耳に飛び込んでくる声に、意識が引き戻された。
横に視線を向けると、ちょっと不機嫌そうな佐倉さん。
「お前、さっきから、何一人で呟いてんだよ?」
「……え!?な、何か、私言ってましたか?」
マズイ。
心の中で呟いてるつもりが……。
「誰のせいで、ノーメイクで来たと思ってんのよ!とか。訳わからん」
「わぁぁぁぁ……!すみません!!」
焦る私に、ため息を一つ吐くと、佐倉さんは、もうちょっと前に渡した書類を二枚、私のデスクに置いた。
「ここと、ここ。間違ってる」
指差された書類の箇所を確認した。
「す、すみません。今すぐ直しますから」
「頼むぞ」
「は、はい」
はぁ……朝、立花さんに会ってから、社長と彼女のことばかり考えてる。
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