第四章 索敵行動、戦闘開始

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「なずなちゃんそういうの本当に雑だからね。人を採用する前に整理しとかなきゃ、そもそも引き継げないじゃない」 うぅまあ、そうなんだけど。あんたみたいな適当女に言われたくはないが。 「わかってはいたんだけど結局ずるずると…。結局、全部その辺の整理を、あいつがやってくれたから。まぁ毎日のようにぶつぶつ文句言ってるのが耳の端に聞こえてくるけどさ。正直本当助かってる。仕事面では」 「何でそこで仕事の面だけってこと強調するのよ」 朱音が言葉尻に敏感に反応した。 「いや別に、だけとは言ってないじゃん」 「いーや、今わざわざそこだけ付け足したよ。つまり、仕事面以外では何か困ってるってことじゃないの」 店内の薄暗い灯の下、妙に目を鋭く光らせてジリッと迫ってくる朱音。参った。そう言えばこの子、時々変に鋭いんだよな。わたし、言外に何か愚痴っぽい雰囲気出してたのかな。 しかしなんというか、他人様にこぼすのも…、何とも阿呆らしいような気が。こんなこと、わざわざ口にするのもなぁと思うと、つい説明が面倒になる。 でも確かに、全く困ってないと言えば それも嘘だし。このままでいいとは思えない。思えないが…、うーん、どうすりゃいいんだろ? 「セリさん、いまうちの会社にある本の在庫のリスト、もうすぐ出来上がりそうです」 軽井沢行きから少々経った頃。デスクのパソコンの前で肘ついて、なかなか見つからない本を探しているわたしの方に、野上が近寄ってきて声をかけた。 「おお、そうか。早いね。…え、軽井沢に置いてきたやつも?」 とりあえず貴重でとっておきたいけど動きが少なそうな本や、人気があるけど東京にまだストックがたくさんある本などはまとめて野上家別荘に置いてきた。次にいつ行くかは全然予定がないが、そうすぐに必要になることもないだろうと判断して。なにぶんこっち(東京)もいい加減スペースないですから。 「箱にしまう前に、とりあえず背と表紙、ガーッと写真撮ってきましたから。俺の家にある箱の中のも同じ方式でやりました。あとで写真を見ながらリストを作るんです」 「あー、なるほど」 普通に感心する。そうだよね、向こうでは箱詰めして置いてくるのでいっぱいいっぱいで、その場でリスト作成する時間なんてなかったもんな。 「セリさん、今までこういうのどうやってたんですか」 「…ん?どうって」
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