無題

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僕『は』 僕『(ここは、どこだ?僕は確かトラックに弾かれたはず、何故ここに?)』 僕『(目の前には鉄板と生肉、そしてトングがあった。焼き肉屋さんなのか?)』 僕『(僕は戸惑いつつ目の前の肉から目が離せなかった。そして沸々と沸き上がる欲望が抑えきれなかった)』 僕『(僕は迷わず肉をトングで掴み鉄板の上に乗せた。ジューという肉の焼ける音が心地よく、匂いは僕の心に波紋を走らせた)』 僕『(僕は今生きているのか死んでいるのか分からなかったが、少なくとも僕の心は息を吹き返した)』 僕『(十分に焼けたかも確認せず僕は箸で肉を掴み、タレをちょっと付けて口に入れた)』 僕『(美味かった。ありきたりな事しか言えないが生涯で一番美味い肉だった。けれど感動するとは思っていたが意外と感動よりも安心が強かった)』 僕『(僕は肉を食べた時、ホッとしたのだ。また美味い物が食べれると思い穏やかになれたんだ)』 僕『(きっとこういう事が幸せということかもしれない。世の中は嫌な事ばかりだと思ってるけど、自分を安心させてくれる何かが側にいるのは多分幸せなのだろう)』 僕『(そのあとも僕は肉を食べ続けた。飽きもせず、ただその幸せを貪った)』 僕『(その、最期の食事を僕は楽しんだ)』 おわり
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