バイト

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 翌朝はモモと渋谷で待ち合わせて、一日一緒に過ごした。買い出しをした物は、ほとんど期日指定で送ってもらうので手荷物はない。楽な買い物だった。一通り買い物を終えて、僕らは代官山で昼食をとることにした。 モモが調べてくれた評判のお店はフレンチだけどランチサービスがあって、お手頃価格、しかも本格的なコースを味わう事ができた。その後は、お洒落なショップ巡りをしながら散策を楽しんだ。もちろん見るだけ、今は。いつかは「これなんか、君に似合うね。」なんて言いながら買い物できたらカッコイイなとか空想しながら… そんなたわいもない一日だったけど、僕にはかけがえのない楽しい思い出になった。夕食は、残念ながらモモに先約があり渋谷で別れたけれど充実した素敵な一日だったな。さあ帰って寝よう、まったり気分で。  翌日は朝からはバイトだった。例の資料の電算入力を一日中したら、流石に目と肩がコリコリになった。(こんな時は軽く運動するといいんだよ。)だから僕は家の近辺をゆっくり走って、一時間程かけて体をほぐした。これでお風呂があれば最高なのだけれど、残念ながら僕の部屋にはシャワーしかない。だから汗を流してから食事に出るつもり。今夜は駅前の定食で済まそう。何たってキャベツ山盛りで、いかにも体によさそうな定食なんだ。  シャワーから上がり、タオルで躰を拭いている時に携帯が鳴った。仕方がないからそのままの格好で受話器を取ると、相手は麗佳だった。僕は、テレビ電話でもないのに周章ててタオルを腰に巻いた。麗佳は、先日の事を引きずっている様子で、凹んでいて、元気のない声だった。
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