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この町は昔から学生が多い町で、実は僕の父親も学生時代に世話になってた町なんだ。だから親子二代(大学は違うけれど)、住まわせていただいているという因縁のある町。昔は今以上に怪しげな文化を醸し発信していたらしい。何しろ父親が、アングラ劇団に入ってたというのだから頭が痛い。だからといって幸いなことに、そちらの関係の知り合いがいるわけではなく、その点ではホッとしていたりもする。なにしろ僕には苦手な分野ですから、文学とか演劇などという、そちらの才能は全く受け継いではいないので。もっとも父親にその才能があったかどうかは定かでないし、かなり怪しいけど。
最近の焼肉屋さんは、煙も少ないし、ファミレス感覚で入れるところが出来てるけれど、本当に美味しいのは、昔からあるタイプだと勝手に思い込んでるモモが案内してくれたのは、いわゆるそっち系のお店。サラリーマンや商店街のおじさん達がビールや焼酎を飲みながらワイワイやっている店です。モモにとっては煙とか匂いなんか関係なくて、味が大切なのだそうで、この店の中で彼女はかなり浮いた存在に見えるが、気さくに挨拶なんかしているから驚きだ。でもこんなモモだけど、その外見みたら成城辺りのお嬢様に負けてないルックスをしてる。しかし着ている服では完敗かな。なにせ何時でもデニムにTシャツ(しかもほとんどユニクロ)だからね。
それでも彼女が一番輝いて見えるのはトラックの上、百六十二センチのモモがユニフォームで走る姿はガゼルみたいだ。知ってるかな?サバンナのガゼル。スリムな躰で、サバンナを走り回る。瞳は円らで、とにかく素敵なんだ。だけどサバンナの動物のテレビ画像では、しばしば肉食のライオンやチーターなどの餌食になったりもしているのだけれど。とにかく、もし興味があったら調べてみて。モモのイメージ伝わるはずだから。
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