バイト

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 バイト初日は電算入力で、渡されたズッシリと重い資料をひたすらインプットして一日が終わった。多分これからもこんな仕事が続くのだろう。  その日、さっそく事務所の歓迎会を有志の方が開いてくれて、いい雰囲気でバイトができそうなのが嬉しかった。オフィス街って結構穴場的な素敵な店があるもんだね。それに結構お洒落だったりもする。大人な気分を暫し味わいました(勿論ノンアルコールで)。  バイトから帰ると、モモからメールが届いていた。合宿の買い出しの手伝いの依頼だ。やったね!明日は一日モモと一緒だ。こんな依頼なら何時でも大歓迎。ついでに食事もありだといいな。  その前に、今夜は、もう一山越えなくてはいけないんだ。そう、麗佳のことだ。気持ちを落ち着けて、ゆとりを持たなきゃね。今夜はどんな言葉が飛んでくるやら。最近、僕に慣れるに従って、言葉のナイフがより鋭利になってきたような気がする。  ちょっと重たい気分で小田急に乗り、成城学園前で下車、何時もの道を何時ものように歩いていた。すると 「先生!」 と、弾んだ声で、後ろから声を掛けられた。振り向くと制服をきた麗佳がいた。 「こんばんは。」 彼女は何時もの癖で、首をやや右に傾けながら挨拶をしてきた。 「こんばんは、今日は遅かったんだね。」 こうして見ると、かなりいい感じのお嬢なんだけれど、天は二物を与えないらしい。 「先生、先に帰って用意をしますから、ゆっくりいらして下さい。」 「うん、いいよ。」 僕がそう言うと、彼女は小走りで走っていった。僕は取りあえず、コンビニに寄って週刊誌を立ち読みすることにした。(もちろん変な雑誌ではありません、一応。)
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