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「……曼珠沙華に埋もれて、静かに朽ちていくことを望めなくても」
瞳を閉じて、思い描く。
自分に光を見せてくれた、唯一無二の存在を。
「君が、生きていてくれるなら」
天からの吉祥を受ける側ではなく、降らせる側に居続けよう。
それが君を守ることになるならば、いくらでもこの両手を赤く染めよう。
君に、生きていてほしい。
そう請い願う衝動を、知ってしまったから。
彼女を守るために、自分という存在が価値を持つと分かってしまったから。
「……生きていて、ほしい。
世間の都合で殺させやしない。
……お前は、バカみたいに笑って、生きてればいいんだ」
自分にその価値があるならば。
もう、簡単に死なんて、望めない。
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