第2章 ダンジョンに挑む前にやることがある、とカヤーマは語る

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さて、次に必要なのはダンジョン内部じゃな。 地図が手に入るなら一番じゃが、それで安心してはイカン。 その地図が描かれたのは何時か? トラップなどのギミックの情報はあるのか? 第一、信用に足る人物が描いた物か? そういった真贋を問わねばならない。 もし地図が手に入らないのなら、少しでもそこに潜った者から情報を得ておけ。もちろん一人だけでなく複数からの。 1%でも生き残る確率を上げるために、そのあたりはやっておくことをワシが進めるぞ。 ボスは何か、ダンジョンの深さは、敵の種類は、何処にどんな罠があるのか、安全地帯はどこか……知るべきことは多くある。 その情報量の多さと精度が生死を分けると言って過言ではないぞ。 しかし、その情報を集めただけでは糞の役にも立たん。 どうしてか分かるか、そこのシーフ? ん? 憶えられるかまずは心配だ? このアンポンタアンっ! そんなもん死ぬ気で覚えろ、出来なきゃ死ぬだけだぞぃ。 いいか、どんな情報も集めただけならただのガラクタと同じぞ。 それらを精査し、分析し、対策を練って初めて役に立つ情報になるのじゃ。 話を聞いてきました、分かった気になりました、ダンジョンに行って死にましたと言うことになりたくなければ、しっかり情報を生かすことをせい。 ダンジョンの構造、敵の数と弱点、トラップの場所と種類とその解除方法……調べあげて丸裸にしておくのじゃ。 ダンジョンに赴く前にすべては決まっておるといっていいの。 それらの情報を生かし切れば、あとは攻略するだけの簡単な仕事じゃ。半分は攻略出来たも同然じゃな。 どうだ、情報の大切さの一部でも理解出来たか? 何? どうすれば情報を得られるのか分からない? バカバカバカっ! そんなこと自分で考えろ。 ……と言いたいが、新人には仕方ないかもしれんのぅ。 よしっ、いいだろう。ワシ直々に実践して手本を見せてやるとするか。 感謝せい。 ん? 何をボウッとしておるのじゃ、早速酒場に行って実地で実習するぞぃ。 もちろん、その飲み代はお前ら持ちじゃ。当たり前じゃろう、ただで手に入る情報なぞ信用出来るか。 そういうことだ。さ、急いで支度せぃ。
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