第1章 ダンジョンとはなんぞや、とカヤーマは問う

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例えば、この大陸の全てを見てみたい、この世の心理を突き詰めたい、邪竜を倒して英雄になりたいと言ったデカい目標もあれば、危険をなるべく侵さず冒険者として生活費を稼ぎたいまで色々ある。 どれがいいとか、どれがいけないとかはないが、少なくともシッカリとした目標は必要じゃぞ。 でないと、いずれパーティーのなかで衝突し解散という憂き目に会うからのぅ。 で、どうなのだ? 何かやりたいことはあるのかの? ほう…… この街の近くにあるダンジョンに潜り力を貯め、大陸中のダンジョンを攻略したい? ちと甘いが、まぁ新人としてはなかなか考えているではないか。若いうちはそれくらいデカいことを目標にせんとイカンな。 よし、大体分かった。 この新人担当教官カヤーマに任せい。 なに、大船に乗ったつもりで安心してよいぞ。お前たちにワシがこれからじっくりたっぷりダンジョン攻略の入り口から出口まで教えてやるわい。 これでも幾多のダンジョンを攻略してきたのだ。ワシに掛かればそこらのダンジョンなどチョチョイのチョイじゃ。 何?早速、この街のダンジョンに行きたい? バカモノっ! 少し褒めたら調子に乗りおって。そんな奴から死んでいくのがダンジョンなのだぞ。 そうならないために、このワシが教官としてお前たち新人の指導をしているのが分からんか。 まったく、これだから新人はイカン。 気が急くのは分かるが、まずはじっくり準備し万全にも万全を期すのがは基本じゃ。 そこがなっていない者から死んでいくのがダンジョンというものじゃぞ。肝に銘じておけ、ヒヨッコども。 まったく心配になってきたぞ。このままではイカンの。 まずはダンジョンに潜る前の心構えからじゃな、お前たちの場合は。 ゴホン。 よいか、まずダンジョンとは何ぞやということから始めるぞ。 そこのデカいの。ダンジョンとは何か言うてみい。 穴ぐら?  ドアホウっ!貴様の頭はカラッポか。そんな頭なら代わりにカボチャでも載せておいたほうがマシじゃ。 いいか? ダンジョンというのは、自然発生的、または人為的に魔力が宿った場所のことをいうのじゃ。 よって、必ずしも穴ぐらがあればダンジョンというわけではない。 もちろん自然の洞窟に出来ることもあれば、森全体がそうなったところもあるし、塔や廃城などもダンジョンになりえるのじゃ。
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