中学のこと

3/6
前へ
/188ページ
次へ
きっかけはありきたりで 落ち込んでいるとき救われたとか 意外な一面にグッと来たとか 多分どいつもそんな感じだったと思う ただありきたりでないのは あの人はこっちの理想通り完璧に心に入ってくるってとこか 完璧すぎるのに演技や計算を感じないとこもかな もう一つ言えるのは人の望みが分かるということは望まないことも分かるということだ  中学の初め お互いの位置感が分かってきたころ 勉強ができるやつへの妬みで 数人の女子が突っかかっていったことがあった この女子たちは日ごろから自分勝手な行動が目に余る生徒たちだった あの人は曖昧に受け流していたが そいつらがかなりしつこく 最終的には空き教室まで連れていかれてしまった  誰もが心配していたが ものの5分で何事もなかったようにあの人だけ戻ってきた 「何でもなかったよ」と微笑しているばかりで 何も言わなかった 俺たちが分かったのは たった5分の間になにかがあり その後女子生徒たちは生まれ変わったかのように 真面目になったということだけだ
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加