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「永澤とこうやって登校すんの、久しぶりだな」
「うん。クラス別々になっちゃったもんね」
「だなー……。あ! 永澤、今日帰り時間作ってよ!」
「なにかあるの?」
「久々に宝探し行こうぜ!」
宝探しとは、二人の間で「レコードショップで掘り出し物探し」の意味だ。
ショウコは嬉しく思い、行こう行こう、と提案に乗った。
「あと、橘とかヒイラギも誘ってさ」
東海林は少し詰まって、けれど言葉を生んだ。
ヒイラギというのは、元同級生の柊こずえという女だった。いつも首からポラロイドカメラを下げ、丸い黒縁の伊達眼鏡にマッシュ系ボブヘア、赤いベレー帽にカラータイツを履いている、謂わば絵に書いたような「サブカル女」だ。今にもスターバックスの新作ラテ片手にヴィレヴァンにでも繰り出しそうである。
東海林がヒイラギに恋をしていることを、ショウコは知っていた。だから東海林はヒイラギを誘おうと提案したのだ。橘の名前を出したのは、まあカモフラージュ用の所謂オマケだ。
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