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うっとりとしながら幸せそうにフィエンドの事を可愛いと言うシズに、フィエンドはたっぷりとじっくりと、シズがフィエンドにとってどういう存在なのかを教えてやる事に決めた。
もともと一回で良い代わりに、その前戯をじっくりやる約束になっていた。
もっともフィエンドは、約束を守る気などさらさら無かったのだが。
たっぷりとじっくりとシズを感じさせて、自分から欲しがるまでとろとろに蕩かして、その体全てを愛してやるのだ。
この美味しそうに目の前で笑う獲物をフィエンドは、こんなにも我慢して我慢して我慢して。
愛おしくて大切だから、嫌われるのが嫌で、この自分が手を出す事も出来ずにいて。
目の前に好物が無防備に歩いていても何も出来なくて。
そんな、好き過ぎて臆病になってしまう自分など、フィエンドは、今まで一度たりとも想像する事などなかった。
そして、こんなにも……昔のように“弱く”なってしまうなど思わなかった。
けれど自分はもう、昔のように弱くは無いのだとフィエンドは知っている。
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