第1章

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「えっと、ふと忘れものを思い出したかなって」 「もう部屋まで来たのにそれは無いだろう? シズ」 「……もう一回体を洗いたいとか」 「……部屋で朝から体を洗ってすぐに出来るようにしておいたから、って言われた時の俺の気持ちが分るか? シズは」 「? じゃあ何時洗うの?」 「俺が手伝おう思っていたのに……」  別に体を洗うのを手伝おうと思っただけであって、事前に余すことなくシズの体の全てに触れてやろうなどとはまったく考えていなかった。  そう、まったく考えていなかったのだ。  これは重要な事なので強めにフィエンドは心の中で繰り返した。   そんなシズは、目をぱちくりさせて、フィエンドを見てにっこり笑った。 「初めてだから、手伝ってくれようとしたんだ。やっぱりフィンは優しいね」 「……ああ」
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