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 夢が原因の痣は相変わらずでき続ける。むしろ前より頻繁にできるようになった。  そのたび、俺は夢の中で痛い思いをするのだが、泣いても叫んでも母親の暴力から逃れることはできない。  子供の頃に虐待されたとか、原因がはっきりしていれば対処のしようもあるのかもしれないが、俺の母親は俺が物心つく前に亡くなっていて、顔は写真でしか見たことがないのだ。虐待なんてされている筈がない。  記憶が改竄されていて、実は父の虐待だったとか、祖父母の虐待だったとか…優しかった人々を疑いたくはないが、その可能性を考えて心療内科には行ってみた。 でも、診察の結果、父や祖父母の虐待はなかった。  幼児虐待の事実はないのに、きちんと覚えてもいない母親が、夢の中で俺に暴力をふるい続ける。その都度、痛みと共に、俺の体には折檻の痕が刻まれていく。  増えていく頻度がさらに増した体中の痣。  そろそろ医者ではなく、寺とかに相談に行く必要がありそうだ。 痣…完
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