プリズム

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「センセ?また水浴びたの。風邪引くよ」 風呂上がりに水を飲む俺の背中に抱きつきながら、優一が首をひねる。 残暑も過ぎて鈴虫の鳴くこの季節、そろそろ冷水は堪えるようになってきた。 「鍛えてるから平気なんだ……オイッ。どこを触ってるっ」 「センセの身体、引き締まっててカッコ好いよね」 筋肉を辿るように、背後から彼の手が身体を這う。 「人間の急所ってさ、男も女も一緒なんだって。ホラ、こことか」 「……っぁ」 指先でクリクリと抓まれて、思わず溜息が零れる。 「ココも」 首筋に噛みついた後、噛み痕をなぞるように舌を這わせてフッと息を吹きかける。 「やめ……っ」 ゾクゾクとした感触が背中を伝い、たったいま収めたはずの熱がまた身体の中心に集まりだした。 そこらの女よりよほど綺麗な顔をした優一に、こんな事をされているなんて。 同性だからと云う嫌悪感より、もっと違う感情が沸いて自分自身に戸惑う。 艶めかしい動きをする指先が、腹筋からVラインを辿り下降する。 パジャマ代わりのショートパンツのゴムの下を、その綺麗な指先がくぐりかけた時。 「馬鹿な真似はよせ」 歯を食いしばって、その手を掴んで止めた。 「オレ、センセとならいいのに」 後ろから抱きついて背中に額を付け、震える声でいう優一のその手を。 俺はただ、慰めるように撫でてやることしか出来なかった。
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