好きというには近すぎて。

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…なんで。 なんで、俺たちは、こんなにも近いんだろうな。 あまりにも近すぎて… どうしていいのか、わからない。 *************** 「てめぇ、昨日俺の部屋のゲーム勝手に取ってったな!」 「いいって自分でいってただろ、覚えてないのか!」 俺、池松雫(いけまつしずく)と山本恵吾(やまもとけいご)は、家がお隣さんである。 自分の部屋のベランダと恵吾の部屋のベランダとの距離、1メートルと少し。 違法建築じゃないかと思うくらい近い。 そして、俺たちの付き合いは小学生から。 …世間でいう、幼馴染み、もしくは腐れ縁。 「いいって言ったかもしれないけど、朝起きてなかったから驚いたんだよ!」 「お前、途中で寝こけてたからだろ。そのせいで、俺はお前の窓の鍵をしめる羽目になった」 「…玄関から帰ったのか」 「当たり前だろ、お袋さんに迷惑かけちゃうしさ…サンダル、帰ったら返すわ」 「…お前ら…」 俺たちの会話を聞いていた友人の遠藤徹哉(えんどうてつや)が、呆れたように口をはさんだ。
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