好きというには近すぎて。

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その顔、凄くムカつく。 「はぁ?!俺だってそんな家でなんてしねーし!」 「そんなこと、大きな声で言うなよ」 「うっせぇ!先に言ったのは恵吾だろ?!」 「まーまー、そう痴話喧嘩するなって」 睨み合う、といっても睨んでいるのは俺だけなのだが、そんな俺たちの間に徹哉が割って入った。 「今は2人とも彼女いないんだろ?だから毎晩一緒にいるわけだ」 「そ。でも、俺今気になる子いるんだ~」 「へぇ、誰よ誰よ!」 とても興味深々な顔の徹哉がずい、と俺に近づく。 「ふふん、隣のクラスの杏莉(あんり)ちゃん♪」 小さな声で、2人だけに聞こえるようトーンを落とした。 杏莉ちゃんはストレートヘアの似合う可愛い感じの女の子。 俺のもろ好み! 「まじか!まぁ可愛いもんな」 「ライバルになるなよ、徹哉」 「俺には妹がいるからいいんですー」 「おぅふ、お前シスコンだったな、悪かった悪かった」 「あからさまにヤバい奴だ、みたいな目線送ってくるなッ!」 俺と徹哉がじゃれているのを恵吾は呆れた顔で見ていた。
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