好きというには近すぎて。

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…でも。 その後恵吾の部屋で課題をやってた時、ふと窓の外を覗いたら雲が1つもない綺麗な夜空だったから、なんとなく見に行きたくなった。 「はぁ?今から?おうし座流星群のピークは再来週くらいだって、ネットに書いてあったぞ?」 さすが恵吾、いろんなことを知ってるな。 「いいんだって、流星群はまたその時でいいし!今日は普通に星みたい!」 「窓からでも今日はよく見えるだろ?」 「ヤダ!近くの公園の丘!あそこがいい!周りに家だけだし、人工の光少ないし!」 「…課題やりたくないだけじゃなくて?」 正直ないとは言い切れないけれど。 「ち、ちげーし!お、お前と星見たくなっただけだし!明日休みだからいいだろー、なぁー?」 単純に、恵吾と一緒に星が見たいだけなんだよ。 いつもお前といろんなことしてきたじゃねーか。 そういうことだよ。 「…はぁ…わかったよ…親にそう言ってくるから、お前も部屋戻って上着羽織ってこい。寒いぞ、外は」 「やった!うし!じゃぁ、俺望遠鏡持ってお前の家の玄関前で待ってる!」 手早くノートやら教科書やらを手に持ち、恵吾の部屋のベランダから俺の部屋のベランダへと移り、上着と、部屋の納戸に閉まってあった望遠鏡を取り出すと、階段を下りて母親へ「星見てくるー」と叫び、玄関を出た。
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