好きというには近すぎて。

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「あそことあそこの星を…繋げて…」 「ふんふん」 指を目で追う。 …長い、男の指だな… 嫌いじゃないけどね。寧ろ… 「…でも、おうしには見えない」 「…ま、昔の人がそう思ったんだろ」 「昔の人はすごいな。俺はバカだからわかんない」 「知ってる」 「っ、んなっ!」 俺はいつも通りムキになって、恵吾の方を向いた。 そしたら、予想以上に恵吾の顔が近かった。 しかも、お前… いつから俺の方見てたんだよ? なんで、俺のコトいつも通りにバカにしてるのに、そんな、優しい目で見るんだ。 眼鏡は息で少し曇っていたけれど、眼鏡越しにそういう視線を向けられたのが、なんとなく、心がぎゅぅ、とした。 「…何?」 「な、なんでもない。」 一瞬変な空気になったけれど、俺たちはとりあえずおうし座の位置を確認して、おばさんが持たせてくれたスープを仲良く半分こした。 「でも、こうやってるのも楽しいな!」 俺は、いつもと違うこの空間がとても気に入った。 「来週も見ようぜ!」 「だから、流星群は…」 「いいの!来週も、再来週も!」 小学生みたいに駄々をこねる俺を呆れた表情で恵吾は見てきたが、はぁ、と白い息を吐いて、一言。 「わかったよ。約束な」 「やったー!」 俺の欲しかった言葉をくれた。 「…お願い、まじで付き合いたいって願うのか?」 帰り道、いきなり恵吾が言ってきたから、もうそんなこと徹哉に言われたことを忘れてた俺はびっくりしてしまった。 別に、ただお前と星が見られればいいんだけど。 「ま、そうかな」 と、どうでもいい感じに返事をした。 だって、本当にそれはどうでもよかったし、それで杏莉ちゃんとどうこうなるなんて信じてなかったし。 …でも、一瞬だけ恵吾が何か言いそうになってた言葉を飲みこんだような表情を見せたとき、俺はひっかかったんだ。 なんで、そんな表情をしたのか。 でも、何も言わなかった。 聞いてはいけない気がした。
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