独りじゃない

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《人間がいるな。まだ距離はあるが近付いているぞ》 驚いてキョロキョロと見回してしまった。 距離があるって事は木で見えないのかな。 《ここにいろ。見てくる》 《わかった。気を付けてね》 フンと鼻で笑ってマオは消えた。 え、消えた? 魔法? 念話…はやめた方がいいかな。 見てくるだけでも気が散ったら危ないかもしれない。 どんな人かもわからないし。 戻ってきたら聞く事にして、マオが残したベリーを鞄にしまっておく事にした。 ビクのような形の小さいカゴにベリーを入る。これに入れておけばベリーが潰れる事もない。 違いを確かめるためだったけど、造っておいて良かったなぁ。 何を造るのか決めたのはマオだけど……。 カゴを鞄にしまい、座ってマオを待つ。 待ち疲れる前にマオは戻ってきた。 《女が2人。危険はない。何かあっても俺がどうにかできる》 どうにかって……まぁ、マオが言うなら大丈夫かな。 危なくないなら会ってみたい。 同じ(?)人間だし。 うん。俺はちょっと変わってるだけで人間なはず。 大丈夫! 同じ同じ! 《会うなら記憶喪失って事にしておけ》 《色々隠さなきゃいけないもんね》 そういう事だとマオは頷く。 マオの事とか創造の力とか言ったらまずいもんね。 わかる事とわからない事も曖昧だし丁度良い。 人外判定されたら悲しいし……。 しかし初めて人に会うのか……なんかちょっとドキドキしてきたぞ。 《そう緊張するな。疲れるぞ》 《いや緊張するよ……。あ、そういえばマオ。さっき消えたのって魔法?》 《いや、身体能力だ》 速すぎて見えなかった……って速すぎだろ! 影すら見えなかったよ! それにしてもなんで地面が無事なんだろう。 それだけ速いならえぐれそうだけど……不思議だ。 《お前もやろうと思えばできるようになる。速さだけじゃなく力もな》 《ほんと!?》 《ああ。だが経験を積まんとな》 やればできる子だったんだね! 今は使わなくても、力がないよりはあった方便利だしね。 何より格好良い! マオのお墨付きもある事だし頑張ろう。 《来たな。暫く念話も控えろ。混ざるとまずい》 《わかった》 足音が微かに聞こえてきたけど、姿はまだ見えない。 マオを撫でて落ち着こう。 うーん。いい。 さて、どんな人なのかな。 いい人だといいなぁ。
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