独りじゃない

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足音が段々と近付いてきて、俺と同い年くらいの金髪の女の子が木の脇から現れた。 長い髪を頭のてっぺんでくくってあるけど森を歩くには邪魔そうだ。 あっ、なんか睨まれた! ジロジロ見過ぎたかな。 とにかく声かけないと。 早足で近付いてきたので、挨拶しようと立ち上がると女の子に剣を突きつけられた。 「ここで何してるの。答えなさい!」 いきなりキレてる……怖い。 マオを横目で見ると気持ち良さそうに寝そべって、こっちを見てもいなかった。 酷いよマオたん。 しかし何をしていると言われても特に何をしていたわけでもないから難しい質問だな。 とりあえず記憶喪失だからよくわからないって事を伝えてみるか。 「あの……」 「どうせコソコソ採取してたんでしょ! これだから野良は!」 「野良? 野良って」 「しらばっくれる気? 髪で隠してるつもりかもしれないけど見えてんのよ!」 何か言おうとしても被せてくるから全然話が進まない。 それでもなんとか会話しようとしたけど、一方的にまくしたてられるだけでどうにもできない。 どうしようか頭を捻っていると、フードを被った人がゆっくりと近付いてきた。 あ、マオは2人って言ってたな。 「そこまでだ。私が話を聞く」 その人が言うとうるさいのが止まった。 大声を出してるわけじゃないのに迫力のある声だった。 フードに隠れて顔の上半分が見えなかったけど、近付くと大体見える。 キリッとした顔立ちのお姉さんだ。 髪は緑と灰が混ざったような色でフードから少し出してる。 綺麗な色だなー。 「なんで! こいつくらいなら私が捕まえるのに!」 「うわっ」 近い! ちょっと! 今剣先かすりましたよ!? 捕まる前に死んでしまいます! 幸い、うるさいのはお姉さんの方を向いていたから、刺激しないように、ジリジリと下がる。 うん。この距離ならわさと刺さなければ大丈夫。多分。 「聞こえなかったのか? 下がっていろ」 美人さんが言うと、うるさいのは歯を食いしばり剣をしまいうと、美人さんの後ろに下がった。 「まったく……。さて、さっそくで悪いがいくつか質問させてもらう。君はなぜこの森にいる?」 うるさいのに命令した時より優しく話しかけられて、ホッとする。 でもちょっと怖いから下手に出ておこう。
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