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「起きなさい」
ふいに声をかけられ意識が浮上する。
やさしいこえ……おきよう……。
目を開けると白銀の髪と翼、透き通るような白い肌。
顔にかけられているヴェールは表情は見えるくらい薄く、整った顔立ちも隠してなお引き立たせている。
そこには天使がいた。
てんしだ……おきたけどねむい……。
起きろと言われ目を開けたものの頭はぼんやりしていて、気を抜くとまた眠ってしまいそうになる。
天使は翼を広げながら手の平をこちらに向け、目を閉じたまま何も言わない。
よく見ると天使の前には何か膜のような物があり、それに触れているようだった。
翼が淡く明滅すると、それに合わせ身体がピリピリするが不快ではない。
「準備は整った」
翼を閉じ天使が言う。
「……と共に……」
もうむり……。
何か言っているが、眠気のせいで意識が朦朧としてまともに聞き取れず、再び深い眠りに落ちていった。
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