独りじゃない

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また寝てたみたいだ。 起きた事に気付いたマオは話しかけてきた。 「お前には創造の力がある。しかし使うには俺の許可が必要だ」 創造? マオの許可? あ、許可ってあれだ。 マオが喋った衝撃ですっかり忘れてたけど、服を造れとか言ってたやつ。 「創造の力は造る物を思い浮かべればいい。問題ないなら俺が許可する」 「思い浮かべてからマオに教えればいいの?」 「造る物を思い浮かべれば俺に伝わる。許可した事もお前に伝わるだろう」 それって考えてる事が筒抜けって事? それは困ると言うか恥ずかしい! 「慌てるな。普段の思考は感情が多少わかる程度だ」 感情だけか。 いや、それでもちょっとあれだけど、筒抜けよりはマシだ。 「良かった。……あれ? でもマオの感情はわからないよ?」 「お前は弱いからな」 マオはニヤニヤと笑いながら言った。 猫のニヤニヤ顔に違和感がないのが違和感ありすぎるよ! 「さて、何も知らないなら服よりも姿見が先だな。」 切り替え速いな! でもまぁ確かに服は見ながらの方が造りやすいかもしれない。 「やってみるよ」 最初は目をつぶっていた方がやりやすいとマオに言われたので目をつぶる。 スタンドミラーを思い浮かべて……。 【創造許可】 許可きた!けど、いつ出来上がるんだろ? 「もう出来たぞ」 マオの声に目を開けると、目の前に思った通りの鏡があった。 我ながら凄い事したな! 初めてで成功するなんて天才かもしれない。 「造っただけでどうする。鏡を使え」 もう少し初体験の感動を味合わせてくれてもいいのにー! 渋々鏡を覗くと、そこには知らない少年がいた。 えっ、知らない人が鏡に映ってる! 呪われてるのかもしれない! 「鏡に驚いているようだが、それはお前だ」 いやこれは知らない人だよ。 自分はこうじゃなくて……あれ? 思い出せない? 違うのはわかるのに、どう違うかまったく思い出せない。 いくらなんでも自分を夢と一緒に忘れたわけではないだろうし……なんで? 「どうしよう、全然思い出せない」 「思い出せなくてもお前は今ここに在る。気にするな」 いや気にするなって……。 まぁ思い出しても変わった事は現実なんだろうし、気にしても思い出せないのも事実。 こういうのって本当にどうでもよくなった頃に思い出すんだよな。 どうでもよくなった時に思い出しても嬉しくないだろうけど、とりあえずその時を待ちますかね……。
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