独りじゃない

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剣と盾が手に入ったのは心強いけど、普段は邪魔だし外し方すらわからんなぁなんて思っていたら、自然と剣は鞘に収まってベルトで腰に。 盾は手甲になった。 感謝の心が伝わったんだろうか。 創造に甘やかされている気がするな。 剣は普通に抜く他、意識すれば手に直接持つ事もできるみたいだ。 盾はマオに頼んで飛び掛かって貰ってみたところ、手甲モードでも攻撃されれば自然と盾に変化する。 頼もしいけど、マオの攻撃がやたら重かったのは自分が子供だからだろうか? なんにせよ戦ったら確実に負けそうだし、マオを怒らせないように気を付けよう。 俺がヘマしても怒るより呆れるだろうけどさ。 剣と盾は外したいと思えば両方ともブレスレットに変化した。 これなら寝る時も邪魔にならないな。 剣を振っていると、ぎこちないが身体は動く。 身体に剣を馴染ませるようにしばらく無心に振った。 ある程度自然に動けるようになり、少し疲れたので座り込むと、離れて様子を見ていたマオが近付いてくる。 「準備はできたようだし、外へ出るぞ」 「えっと、外に? 今から?」 「そうだ。ある程度動けるようだし、外の森は浅く強い獣もいない。今のお前でも危険はないだろう」 ここは洞窟の中で、あるのは岩肌と石ころくらい。 水は岩の隙間から湧いてるけど、食べ物がないから出ないと腹ペコで死んじゃうな。 今は空腹を感じないけど、寝る前に一食は食べたい。 疲れてるとはいえ空腹で動けなくなったらまずい。 歩き始めたマオに続こうと腰をあげると、何かに気付いたように止まり戻ってきた。 「言い忘れていた。出る前に名前を決めろ。名前がないと不便だろう」 ……なんてこった。 俺は名前すらわからないらしい。 確かに名前はないと不便だろう。 あれこれ考えた末に、ようやく決まった。 スイ=ノワール 苗字はマオを見てすぐに決まったけど、肝心の名前が思い付かなかった。 何かないかとあちこち見ながら頭を捻っていた時、マオの瞳が目に止まる。 よく見るとマオは青と緑のオッドアイ。 青は水の色、緑は翡翠の色。 自分の髪の色とは真逆だけど、捻くれた名前をつける親もいるだろう。多分。 名前が決まった事を告げて名前の意味も教えたけど、どうでもいいと一蹴されてしまった。 マオ……相変わらずクール……。
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