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そういいながら、実のところ私は恋なんていう以前のレベルのところにいる。
今まで好きになった男子さえいない。
漫画だったら、隣の家にケンカばっかりしてた幼なじみの男の子がいたり、一緒に遊んでくれた優しくてカッコいいお兄さんがいて……ある日突然、とかいう話になるかもしれない。
けど、世の中、そんなにうまいこと隣の家、しかも自分の部屋の向かいに同級生の男子がいたりしない。
ましてそれがイケメンなんて確率、めっちゃ低いと思う。
中学校は女子ばっかり、周りを見回してみても好きになる男子を見つけるのが難しい。
もちろん、周りには中学から彼氏もちの子もいるし、大人の階段を何段も先に昇ってる子の噂もちらちら聞こえてくる。
でもそれを聞いても、焦る感覚には程遠いというのが本音だ。
何一つ経験ない私には、ものすごい他人事だ。
壁ドンどころか、胸キュンさえ経験ないのだから。
高1の終わり頃、こまちゃんにぼそっと「胸キュンって、ようわからん」って言うたら、ちょっと驚き顔で聞かれたことがある。
「現実の男の子やなくても、アイドルとか見てドキドキせえへん?」
こまちゃんも彼氏はいないけど、ジャニーズアイドルの大ファンなのだ。
「アイドルに?」
「そ! 私はダンスしてるときのユウキくんがこっち向かってウィンクしただけで、たまらん!! 鼻血出そう!」
「……テレビ見るたんび鼻血出してたら、こまちゃん、そのうち貧血なるで」
そう言ったら、ものすごく大きいため息をつかれた。
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