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「へっ!?」 いきなり何いわはるんや、この人!!! ひきつった目でもへじさんを見ると、どこまでも無表情に自分の詰襟の袖口を引っ張る。 ……そやった。 ボタンつけるのに、上着を着たままというのは無理やった。 もへじさんから言うてくれはって助かったー。 今の私の口からは「脱いでください」なんて単語、きっと出てこーへん。 変な意味と違うってわかるのに……。 「すみません、寒いかもしれませんが、お願いします」 ペコペコ頭を下げる私の横で、もへじさんは黙って前のボタンを一つずつ外す。 ……ような気配を感じる。 隣で行われている脱衣行為を眺めることはできず、そうや、ボタン出さないと、と、膝の上に乗っている自分の鞄からティッシュでくるんだボタンとソーイングセットを取り出して待機する。 袖を抜くときに、ごくごく軽くもへじさんの肘と私の肩があたった。 ひゃっ! 心の中の反応が口に出てしもたかどうかもわからん。 「お願いします?」 微妙に語尾を上げながら、もへじさんは制服の上着を私に手渡す。 「はいっ! どんとお任せください!」 あんた、どこの店の人やねん。 ……もう私、自分の口をソーイングセットで縫いつけてしまいたい。
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