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駅を降りてから歩いて7分。近くの商店街を抜けた先に学校はある。
「おはよう」
校門前ではシスター山口こと山口先生が立っていて、登校する生徒たちに声をかけている。
「おはようございます、山口先生」
こまちゃんも私も足を止めてお辞儀する。
挨拶はきちんと立ち止まってしましょう、というのがこの学校の規則なのだ。
校舎内に入ると、入口にマリア様の像がいる。
結構大きくて、ほぼ等身大くらいの彫像だ。
このマリア像の前でもいったん止まって、「おはようございます、マリア様。今日も一日お守りください」と祈りの言葉を言うのも規則。
正直、無言で通り過ぎる生徒もいるけれど、学校はそれほど厳しく指導はしないみたい。
毎日言うのは私みたいな中等部からエスカレーターで高校にあがった生徒が多いようだ。
私も最初は「めんどくさ!」と思っていたのに、中1から言い続けていたら、何も言わずに通り過ぎると罪悪感を感じるようになってしまっている。
慣れって怖い。
高校から入学組のこまちゃんは、私と一緒に足はとめるけどお祈りはしないで、私が言い終わったら軽くおじぎだけする。
信仰心は強制されて生まれるもんやないし、それでいいと思う。
でも私は、クリスチャンではないし、家はバリバリの仏教徒だ。
おばあちゃんはいつも「日本は神仏混淆の国、信じたいものを信じといたらええ」と言っている。
私もおばあちゃんに賛成だ。
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