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「祥の好物は知ってるけど、それは俺からじゃねえよ。」 「……え?」 「俊が、祥、昼食ってないと思うし、多分ここに来るから渡してくれって頼まれたんだよ。」 「……俊か。」 俺は紙袋から好物のチョコパンとアップルジュースを取り出して、さっそく封を開けた。 「おまえらお互いのことよくわかんのな?」 「そうかあ?」 チョコパンにかぶりつきながら答えた。 「やっぱ、双子だなあ。」 「そんな、しみじみと言うなよ……」 水分の取られた口内にアップルジュースを流し込んだ。 「しっかし、ほんとによく似てるよなあ、おまえら。」 「だから、なんだよ。今に始まったことじゃないだろ!」 俺のツッコミなんて気にもせず彰は言葉を続ける。 「俊と祥の区別がはっきりつくのって……オレと大成(ヒロナリ)くらいじゃねえ?」 「う~ん。そうかな。」 そんなことどうでもよくて、適当に相槌をうった。 そして、また心地よい風が髪を撫でる。 「やっぱ、ここ気持ちいいな。」 「当たり前でしょう! 俺様が見つけた唯一の日陰だぜ。」 彰は胸を張って言った。 ここ。 屋上。 立ち入り禁止。 本当は鍵がかかってる。 だけど、彰が偶然手に入れた棚ぼた品。 先生たちが困ってるとかそんなこと俺たちには関係ない。 その棚ぼた品の鍵は複製品を作って人数分ある。 俺と俊と彰。 そして大成だけの秘密の隠れ場所。 屋根なんてない屋上でタンク層のお陰で日影が出来る唯一の場所が、今俺たちが陣取ってる場所。 彰がこっそり家から持ってきたキャンプ用のベンチ。 よくばれなかったよ。って、今でも思う。 後から追加で持参した小さな椅子が3つ。 十分過ぎるほど、ここは俺たちだけの隠れ家。 先生がもし仮に入ってきたとしても多分気づかれない。 入口からはタンク層のお陰で死角になっているから。
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