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「……ごめん。
今はバスケ以外考えられないんだ。」
目の前でうつむく女子に言葉を放った。
「あ……ごめんなさ……」
その子は顔もあげず俺の前から走り去って行った。
少し涙声だったことに気付いていた。
「あ~もう、なんで俺なんだよ!」
また泣かせた……
その罪悪感だけが胸に残る。
中庭に5月の気持ちいい風が吹いて俺の髪をさらう。
2年に進級して……もう何人目の告白だったか忘れてしまった。
女子と付き合うつもりなんてサラサラない。
いくら好きだと言われても俺の心は動かない。
彼女なんていらない。
そもそも……
初恋すらまだ未体験だ。
キーンコーンカーンコーン……
5時間目の授業を知らせる5分前の予鈴が校内に鳴り響く。
右手で乱暴に頭を掻いた。
あ~昼休みも終わりか……
5時間目面倒くせえなあ……
あそこ行くかな。
中庭から校舎内に入りあそこへと続く階段をあがる。
階段をのぼりきり、扉のノブに手をかけようとした瞬間。
先に扉が開いた。
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