第一章【新しい入居者】

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ピンポーン! おや? 誰かが、うちの呼び鈴を鳴らしたみたいだ。 ドアスコープを覗くと、そこには、同い年くらいの女性が立っていた。 どうやら、新しい入居者らしい。 ガチャリッ 「あ、はじめまして。こんにちは。隣の一〇二号室に引っ越してきました、高田 由奈(たかだ ゆな)です」 引っ越しの挨拶にと、白赤の蝶結びの水引の熨斗紙に、『御挨拶』という文字と、高田という名が書かれた箱を手渡された。 若いのに、礼儀のきちんとした女性だと感心する。 「あ、はじめまして。僕は、相本 勇太(あいもと ゆうた)。何かあれば、遠慮なく声を掛けてくださいね」 穏やかな声で言うと、高田さんは、笑顔になり、「はい! よろしくお願いします!」と、ペコリとお辞儀をした。 うん。なんだか、可愛い。 「ところで、高田さんは、僕と同じ大学? ここから歩いて行ける……」 「えぇ! 違いますよ!」 大きな声で否定する高田さん。
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