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そこでフィエンドがシズをぎゅっと抱きしめた。
それに、シズはフィエンドの腕の中で幸せそうに笑う。
その可愛らしい様子にフィエンドは愛おしさが増して、絶対にこの腕の中で守って、そして二度と逃さない、逃せないと心の中で思う。
きっとシズは、“神殿”の事で不安があるのだろうとフィエンドは思い当たる。
いつも明るくて、初めてであった時も陽だまりのような暖かさがシズにはあった。
それが翳る事のないように手を放したはずなのに、数奇な運命の果てに今はフィエンドの腕の中にいる。
そこでフィエンドはシズと目が合う。
自然と微笑んでしまうフィエンドに、シズは再び唇を重ねる。
シズの頬が赤く染まって、けれど何処か悪戯っぽく笑っている。だからフィエンドは、
「シズ、よくもやったな」
「わぁ!」
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