第一話「はじまり」

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「あら、起きたのね」 突然聞こえた声にびくっとしてしまう。 扉はよく見える位置にあるというのに、扉の開く音に気が付けなかったようだ。 部屋に入って来たのは群青色の髪と瞳が綺麗な女性だった。 短く切られたその髪はその女性の明るさを象徴しているようで、実際に明るい笑顔をしていた。 この部屋の主だろうか。 「気分はどう?」 「あ……えと、悪くないです…」 久々に声を出した気がする。 そのせいか少し掠れてしまった。 なんだか気恥ずかしくなり、俯く。 髪がかすかに顔にかかり、ふわりと潮の香りがした。 無意識にその亜麻色の髪に触れる。 感じる違和感に、本当に自分の髪なのかと疑問を抱いた。
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