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「どうしたの?」
女性が不思議そうにその様子を見つめる。
「髪が、ちょっと、ごわごわします」
まるで覚えたての言葉を発するかのように、ぎこちなく声を出した。
その様子が面白かったのか、それとも発した言葉が意外だったのか。
女性は豪快に笑った。
「そりゃあそうよ。あなた海辺に倒れていたんだもの。とりあえず着替えはさせたけど、きちんとお風呂に入った方がいいわね」
視線を合わせるようにして女性は身をかがめる。
そして群青色の瞳が優しく微笑んだ。
「私はアンナ。もしよかったら、あなたの名前を教えてくれる?」
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