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そんなアンナの微笑みにほっと安心感を抱き、口を開く。
しかしその瞬間、心臓の高鳴りと共に一瞬呼吸が止まったような感覚がした。
――わからない。
身体が震えるような感覚がして、思わず手を抑える。
「あ、あの、私」
掠れた声が先程よりも小さく聞こえる。
「どうしたの?」
「わかりません、あの、名前、私」
もう一度「わかりません……」と小さく呟くように言う。
そんな様子を見て、アンナは落ち着かせるようにその手に両手を添えた。
「……まだ混乱してるのかも知れないわ。とりあえずお風呂に入って。話は後にしましょう」
アンナはそう言って明るい笑顔を見せた。
ゆっくりと息を吐いて、少女はこくりと頷いた。
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