第一話「はじまり」

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そんなアンナの微笑みにほっと安心感を抱き、口を開く。 しかしその瞬間、心臓の高鳴りと共に一瞬呼吸が止まったような感覚がした。 ――わからない。 身体が震えるような感覚がして、思わず手を抑える。 「あ、あの、私」 掠れた声が先程よりも小さく聞こえる。 「どうしたの?」 「わかりません、あの、名前、私」 もう一度「わかりません……」と小さく呟くように言う。 そんな様子を見て、アンナは落ち着かせるようにその手に両手を添えた。 「……まだ混乱してるのかも知れないわ。とりあえずお風呂に入って。話は後にしましょう」 アンナはそう言って明るい笑顔を見せた。 ゆっくりと息を吐いて、少女はこくりと頷いた。
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