第一話「はじまり」

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◇◆◇◆ 温まった身体を拭き、無心でアンナの用意してくれた服を着る。 先程まで寝ていた部屋のカーテンと似た、薄い水色のワンピース。 サイズは不思議とぴったりだ。 新しい服というわけではなさそうだが、アンナの服とも思えない。 ふっと息を吐いて、髪の水分を拭き取った。 「あ、あの、お風呂ありがとうございました」 先程までいた部屋ではなく、アンナに言われた部屋におそるおそる入っていく。 お風呂で温めたことで喉が潤ったのか、声はもう掠れてはいなかった。 部屋はどうやらリビングのようだ。 誰もいない。 しかしそのリビングから繋がっているところから水の音がした。 キッチンと繋がっているのだろうか。 ゆっくりと足を進める。 そこには見知らぬ男がいた。 烏羽色の髪に、吸い込まれそうなくらい深い闇のような瞳。 「っ!」 目が合い、思わず立ち止まってしまう。 男はテーブルで珈琲を飲んでいた。
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