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「見くびるなよ売国奴めが。エーファ様、どうかお行きください、我らを見捨ててください……」
「タケル様の無念を、我らの死を、どうか無駄になさらないでください……」
「あなた、達……」
「見上げた愛国心だ。そんな面倒な事、僕には想像もつかないがね」
エーファと対峙する月の子・柊斗。
「先に言わせてもらおうか、エーファ。逆らったらこいつら殺す。逃げたら殺す。口ごたえしても殺す。嘘だとわかったら即殺す。沈黙は10秒ごとに二人同時に指一本ずつだ」
「おぉ怖い怖い。まぁそういう事じゃ、御姉様よ。柊斗、カウント開始じゃ」
「10、9、8、7、6……」
エーファには"ゲート"をくぐり、新たな味方を引き連れて再び帰ってくる使命を持っている。倭国の敗北を挽回する為に。
しかしそれは本当に正しい選択なのだろうか。彼女が帰ってきた時、民や兵たちはあと何人生き残っているのだろう。戦いをこれ以上引き延ばして、更に多くの血が流れ、それが最善なのだろうか。
「エーファ様……頼む、見捨ててくれ……」
「畜生……畜生ッ……」
「私は……」
「5、4、3、2、1……」
「わかりました」
エーファの結論は――
「あなた達を、見捨てます」
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