第1章

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一瞬、外の光が暗くなったが、また、ヴィクトリアのブロンドの髪を、黄金に輝かせた。 太陽を彼女は、眩しそうに目を細めて見た。 下で大人しくしていたミハエルが、その時、一回だけ吠えた。 「ランチ!遅いわね」 彼女はそう言って、急に静かになった。 なんか、よく分からない女の子! いや、女性だ。 「君の犬が、吠えたね」 僕は、なんとかこの静けさを打破すべく、話しかけた。 「そうね、もう直ぐ雨が降るのよ!ミハエルや狼は、よく見えるのよ!まるでソラリーゼーションのようにね」 「えっ?」 僕は、またも目を丸くして彼女を見つめてしまった。 外を見ている彼女が、ふいに僕の瞳を覗き込む。 そして、その時、店長自らが、料理を運んできた。 案の定!と言うべきだろうか? ヴィクトリアの言った通り、雨がシトシトと降ってきた。 僕は、今、屋敷のソファーに座って暖炉の小さな炎を見ていた。 彼女は、本家の屋敷にいる。 レストラン「ドラクル」から屋敷までの道のりの事を、ちょっとだけ思い出す。 「掃除しなくっちゃ、ケイは、今日!暇なの?」 「なんで?」 「もし暇だったら、手伝ってもらいたいの」 彼女は風?に掻き上げられるブロンドの髪を押えて、僕の方を向いた。 シギショアラの町並みが、彼女一人の存在により輝きだしたかのように、明るくなって来た。 彼女を見ていると、つい、なんでもその通り、言う事をきいてみたくなる。 「さあ、どうかな」 「何処か、行くの?」 「ああ」 「きっと、雨が降るわ」 「君が呼ぶのかい?」 僕はヴィクトリアをカラかってみた。 「呼ぼうと思えば、呼べるけど」 彼女のエメラルドグリーンの瞳は、怖いほど光った。 その時、ミハエルが僕の処にすり寄ってくる。
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