第1章

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イギリスで紹介してくれた不動産の社員も、今では、あれ以来!一回も来なくなっている。 「いずれ、バートリーさんに会えますから、その時に色々と教えてもらってください」 ロンドンの優男は、日本人?東洋人が嫌いそうな感じで、そう言うと即行でシトロエンで帰って行った。 いずれとは? 一ヶ月以上の日数らしい。 夜ともなると、狼の遠吠えが聞こえそうな、バートリー家の古い屋敷で、僕は図書館で借りてきた「早すぎた埋葬」を読んでいた。 トランシルヴァニアは、やはり特殊な地方、地域かもしれない。 ここに来る前にも色々と書物や小説?主にってドラキュラ物!吸血鬼モノ、その手の映画等を見ていた。 だから、興味は人一倍あったような気がする。 だから、ここに来てしまったような気がした。 トランシルヴァニアは当然!ドラキュラが有名だ。 ドラキュラ! 吸血鬼伝説! 狼男伝説! 吸血鬼女帝伝説! 僕は、それに対して特に信じてはいない。 その辺の処が、結局、自分としても曖昧だが、信じてはいない。 神は死人を甦らせたくなかった。だから、色々なシステムを考え、我々の社会に組み込んだ。 呪われた血液? それをどう地域性と絡ませるかが問題だった。 レストラン「ドラクル」の天井には、ブラド・ドラクル公の肖像画が掛けられており、僕はその絵を、たまに思い出したかのように見上げ続け、その後でハイネケンを飲んだ。 ニート?フリーター?の・ような僕の暮らしを店長は嫌いらしい。 だから、そこのレストランには一時間ぐらいしかいない。 殆ど聴いたことが無いルーマニアのロック?ポップスが流れているが、そのレストランは昼間は極端に若者が少ない。 そして、その音楽は、たまに止まってしまい、店の奥からの食器を洗う音に変わり始める。 いつも犬を連れて歩く初老の紳士が外から僕を見ている。 僕はランチのニンジンをホークですくっていた。 次はトマト、そして血のような赤ワイン! 地元のワインは、そんなに美味しい訳ではない。 ただの食前酒のよう。 ビールと一緒に頼む僕を、そこの店長は決して理解はしてくれないだろう。 そして、いつものようにPM2時前にはそこの店を出た。 そして、カメラ屋に行って、さっき頼んでおいたデジカメデータのプリントを取りに行く予定だ。 トランシルヴァニアは、曇りがよくにあう。
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