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結着
「どうだ、調子は、もう大丈夫なのか?話せるか?」
オレは、ついつい捲くし立ててしまった。
うなづいただけだった。
「無理して話すことはない。また来るから」
オレは初めてなのかもしれない。
(人助け、か…。悪い気持ちではないよな)
オレは、この女を助けた。
オレは、この女に呼び止められ、注意しながらも家に招き入れた。
皮膚の難病なのだそうだ。
夏でも、コートと帽子は欠かせないそうだ。
オレは、オレが健康になったお返しに、援助することにした。
オレの善意ではない。
オレからのお返しだ。
妻も、子供たちも納得してくれたようだ。
手術には、完治まで1000万ほどかかるようだったのだ。
寄付ではなく、貸してやることにした。
この女も、それに同意した。
オレとしては、その金は、この女にくれてやった、と思うようにした。
そうすれば、後悔はしないだろう。
私が大金を持っている情報は、どうやら売り買いされているようだ。
変な輩に、目を付けられないようにした方がいいのだろう。
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