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僕は劇の稽古を終えた帰り道を
いつものように自転車で走っていた。
冥は居なかったが、グゥ、遊鬼
アヤちゃん、ウェンディの腐れ縁が居る。
昨日と同じで、30℃を越える
暑さの中にも時折、心地好い風が
僕らを包み込む。
登り坂は地獄に等しいが
下り坂は扇風機よりは大分マシ。
「それにしても、あのO☆SUの
杏奈ちゃんまで改心させるとはね~」
遊鬼は、これまで「杏奈」は呼び捨て
だったが、急に「ちゃん」を付けた。
少しは杏奈のテレビでの活躍を
一目見てファンになるつもりだろうか?
「女のなるは、なかなかやるなぁ~」
「やったのはナル君でしょ、遊鬼君。
ナル君に比べると遊鬼君は駄目ね。
召喚魔物は強いのに、遊鬼君は
全然駄目ね。ちょっとはナル君を
見習ったらどうなの?」
遊鬼は、召喚して善戦はしていたが
コモパン先輩との戦いと比べて全く
進歩が無かった様子に、ダメ出しだ。
「ナルと一緒にすんな。オレはオレだ!」
急成長を遂げる僕とは比べられたく
ないようで「比較三原則」を盾にしたい
ようであった。
注)「比較三原則」とは
親と比べられる。兄弟と比べられる。
友達と比べられる。という3つの比較を
例にした、子供にとってされたくない比較だ。
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