五月雨を集めてはやし最上川

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ちょっと進んだ所で、先程の 暴走族と思われる人達のグループが 屯(たむろ)していた。 「みんな、あそこは避けましょ…」 アヤちゃんは迂回案を提案したので 嫌な予感はしたので、迂回した。 ブーン! 「近いよね…」 「追って来てないよね…」 何かから追われているはずもないのに どこかで大泥棒した犯人のような気分。 相手はバイクに乗っているので 自転車で逃げれるはずもなく あっさりと回り込まれてしまう。 「yo!炸羅の子達だよな!」 750cc(ナナハン)バイクから 一人の男が声をかける。 喧嘩腰の言葉ではなかったので 「気を付けろよ」とか「何してるの?」 などと、パトロールでもしている 人達かと思ったぐらいだ。 「あのさ。ナルって娘を知ってる? 1年8組の娘らしいんだけどyo」 喉太く、バイクの排気音に 負けない、通る声で話している。 丁寧さもあり、失礼を 弁(わきま)えている。 ドドド…ドルドル…と排気音が 聞こえる中で我々は沈黙していた。 「僕だしっ!!」とは 思ったが、言わなかった。 「女の子も居るのに驚かせて御免な。 俺はyo、榮禊(えいけい)っつーんだけど 炸羅では『AK』で通ってる。 怪しいモンじゃねーし怖がらせる 気はないし、高校生に手を出す程 俺は落ちぶれちゃあいねぇ。 生屠会四天王から聞いたんだけどyo 『なる』とか言う、クソヤベェLadyが 居るって聞いたんだけどさ 知っているかな?と思っただけだ。 知らなかったらそれで良い。どうだ?」
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