◆10◆ 忍び寄る別れの魔の手

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    いつになく真剣な青年の態度に緊張感が走る。 「なんだ、改まって。」 「少しの間灯りを消してもらえますか?」 「ああ、いいよ。」  看板の灯りを落とす。 「それで、2人きりじゃないと話せないことってなんだ?」 「まずは、バイトを辞めさせて下さい。経済学課学科行くので来れなくなります。」 「解った。バイトは気にしなくていい、まぁお前目当ての女性客が居なくなるのは痛手だな。」  軽く返す。 「もうひとつは、月依さんのことです。」 「なんだ、上手くいってないのか?」 「いいえ、恐ろしい程に上手くいってます。」  答える声が上ずったかもしれない。 「じゃあ、改めてなんだ?」 「俺、家から逃げて来たって言いましたよね。」 「そうだったな。」 「凄く倖せでしたここに来てから・・・・・・。マスターに弟のように可愛がってもらえたし、月依さんにも出逢えたし。でも俺家に帰らないといけない。」  寂しそうに話した。 「燵夜、親父さんが来てるのか?」 「はい。あの人が俺を取り戻す為に動いて来ました。」    
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